褥瘡-呼称の違いと共通する課題
「褥瘡」「圧迫損傷」「圧迫性潰瘍」「床ずれ」など、呼称は地域や医療文化によって異なりますが、いずれも同じ病態を指し、世界的な課題です。 褥瘡は進行性であり、深部組織損傷へと移行する可能性があり、場合によっては外科的治療が必要となることもあります。 また、重篤な合併症を引き起こすリスクも高いため、早期の予防と適切な管理が重要です。
褥瘡対策に関する現在のガイドライン
褥瘡対策に関するガイドラインは、国際的および地域的に信頼性の高いものが多数策定されています。 ヨーロッパにおいては、ベネディクト氏の指摘のとおり、EPUAP(欧州褥瘡予防・治療学会)による初版ガイドラインが2009年に発行され、その後2019年および2025年に改訂されています。 ベネディクト氏は、ガイドラインの普及率については前向きに評価している一方で、現場での実装状況には地域差があり、均一性に課題があると懸念を示しています。
褥瘡対策と治療に関する国際的な臨床ガイドラインをご覧ください。
褥瘡対策のための戦略
ベネディクト氏は、褥瘡対策において最も効果的な戦略は、複数の介入を組み合わせ、日常業務の流れに統合することであると考えています。
また、用度課や財務部門などの非臨床職の関係者の支援を得ることは容易ではないものの、こうした関係者の理解と協力は、予防プログラムを適切に推進・維持する上で不可欠であると指摘しています。 褥瘡対策の導入を正当化するための、費用対効果に基づく提案の作成
褥瘡対策に関するポジティブな経済的根拠の構築
ベネディクト氏は、褥瘡対策プログラムの導入にあたり、用度課や財務部門の担当者と対話する際には、介入による利点を具体的なコスト削減と直接的に結びつけて説明することが重要であると提言しています。 たとえば、入院期間への影響を議論する際には、病床1日あたりのコストなどの定量的なデータを活用することが有効です。
また、ベネディクト氏は短期的なコスト削減にとどまらず、可能な限り長期的かつ広範な医療提供体制におけるアウトカム改善の経済的インパクトについても検討することを推奨しています。
褥瘡対策の利点を実証するためのデータ収集
最後に、ベネディクト氏は、医療従事者が収集・提示すべきデータの種類について説明しています。 これらのデータは、褥瘡対策プログラムの導入に向けて最も説得力のあるビジネスケースを構築するためだけでなく、どの介入が最も効果的であるかを臨床的に理解するためにも重要です。
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ベネディクト・スタンベリー、IHLM創設者兼ディレクター、オックスフォード、英国
