患者エンゲージメントが重要である理由
世界保健機関(WHO)は、患者エンゲージメントを「医療の不可欠な構成要素であり、安全かつ患者中心のケアを提供する上での重要な要素」と位置づけています。この概念には、患者が自身の健康管理に積極的に関与し、治療方針の決定やセルフケアに主体的に参加することが含まれます。
患者エンゲージメントの潜在的な利点として、以下が挙げられます
- 患者満足度の向上
- 患者の積極的な関与は、双方が合意したケアプランの遵守を促進する可能性があります。
慢性創傷管理では、患者の関与が高まると、治療計画の遵守が向上し、合併症が減少し、より効果的な治癒過程がもたらされます。
さらに、患者エンゲージメントの促進は、時間の経過とともに医療システム全体に好影響を及ぼす可能性があります。患者の体験は、将来の臨床研究やケアプロセスの改善にフィードバックされ、患者のニーズや優先事項は、医療資源の配分や政策立案における意思決定を方向付ける重要な指標となります。
患者エンゲージメントを高めるにはどうすればよいか
医療従事者として、 静脈性下肢潰瘍(VLU) や 糖尿病性足潰瘍(DFU)などの慢性創傷に罹患している患者に対し、患者が治療に対して積極的な姿勢を示し、サポートされていると感じられるようにするにはどうすればよいでしょうか?
患者ケアにおいて重要とされるスキルおよび行動には、以下の要素が含まれます。
- 共感
- 患者の声を代弁する力
- コミュニケーションスキル
- 問題題行動を示す可能性のある患
ケアプランを策定する際には、これらのスキルを活用して患者を巻き込むことが重要です。これを実現するには、たとえば、治療の選択肢について、患者が重要な情報を理解し、記憶・定着しやすい方法で、適切なタイミングと環境のもとで説明や話し合いを行うことが求められます。
ドレッシングを選択する際には、患者の価値観や優先事項を尊重するとともに、日常生活における行動様式や生活環境など、選択に影響を及ぼす可能性のあるライフスタイル要因について十分に評価・共有することが重要です。
患者とその介護者を治療計画立案に含めることは、包括的ケアアプローチの重要な側面です。この協働的アプローチにより、患者は自分のケアをよりよく理解し、臨床転帰の改善と患者の満足度の向上につながります。
Wound Care For Allでは、患者がケアに関与するために使用できる、患者中心の有用なリソースをいくつか集めました。また、傷の手当に関する記事を患者に見せることもできます。
慢性創傷のケアにおける患者の関与の詳細については、世界治癒協会連合(WUWHS)のコンセンサス文書である 「患者エンゲージメントによる創傷ケアの最適化」で詳しく知ることができます。
